days
ねこの寝言
彼は時折わたしの人生の隙間を
かいくぐっては脱出に成功する。
たまの冒険も大切だと思い最近は
あまり引き止めず見守るようにしている。
真剣に外の世界へと飛び出していく
キラキラした姿が少し羨ましい時もある。
そして1日も経たないうちにベランダの外から
開けてくれ ! と騒ぎ立て大冒険の旅を終える。
戻るのは決まって真夜中なので
入れるだけ入れてやって
「おかえり」の一言でこちらも眠ってしまう。
翌日の彼はいつもと違い
ごはんにも興味を示さずひたすら寝ている。
とくに今回は丸2日ほど眠っている。
わたしはそんな彼と同じベットに横たわりながら
旅の話を聞くのがほんとうに好きだ。
体を撫でながら、傷を負った手足の観察をし
話しかけた時の反応の鈍さで疲れ具合を察知する。
全身を嗅いだことのない匂いが覆い
それがより一層旅のスケールと想像を引き立てていく。
どんな道を歩いて、どんな草に触れたのだろう。
どんな穴をくぐり、どんな猫に出会ったのだろう。
絵本を読むようにわくわくしながら
やりきった彼を見つめ、やっぱり少しだけ君になりたいと思う。
外には
きっと君が旅の途中で出会ったのであろう野良猫が
挨拶するように吠えている。