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ねこの寝言

ねこの寝言

2020.09.04

彼は時折わたしの人生の隙間を
かいくぐっては脱出に成功する。

たまの冒険も大切だと思い最近は
あまり引き止めず見守るようにしている。

真剣に外の世界へと飛び出していく
キラキラした姿が少し羨ましい時もある。
そして1日も経たないうちにベランダの外から
開けてくれ ! と騒ぎ立て大冒険の旅を終える。

戻るのは決まって真夜中なので
入れるだけ入れてやって
「おかえり」の一言でこちらも眠ってしまう。

翌日の彼はいつもと違い
ごはんにも興味を示さずひたすら寝ている。
とくに今回は丸2日ほど眠っている。

わたしはそんな彼と同じベットに横たわりながら
旅の話を聞くのがほんとうに好きだ。

体を撫でながら、傷を負った手足の観察をし
話しかけた時の反応の鈍さで疲れ具合を察知する。
全身を嗅いだことのない匂いが覆い
それがより一層旅のスケールと想像を引き立てていく。

どんな道を歩いて、どんな草に触れたのだろう。
どんな穴をくぐり、どんな猫に出会ったのだろう。

絵本を読むようにわくわくしながら
やりきった彼を見つめ、やっぱり少しだけ君になりたいと思う。

外には
きっと君が旅の途中で出会ったのであろう野良猫が
挨拶するように吠えている。

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